接眼ミクロメーターについての知識
(1)正しい接眼ミクロメーターの選び方
- パターンの種類
- パターンの種類は請け負う分析によって大幅に異なります。個々のパターンに関する詳細を以下に述べていきます。
- ミクロメーターの目盛り間隔
- 先ず、注意しておきたい重要なことは、ここで述べる接眼ミクロメーターの寸法は、常に、レチクルそのものの絶対寸法であり、測定している標本の寸法ではないということです。標本の寸法と接眼ミクロメーターの目盛りの寸法との関係は対物レンズの倍率と伸縮自在筒の長さによってのみ決まります。また、目に見えるスケールの大きさは接眼レンズの倍率によって決まります。従って正しい関係を決める為に、必ず校正しなければなりません。(校正に関しては後で述べます)
- オペレータが十分に見える程度にレチクルの寸法を選ぶように注意しなければなりません。例えば、目盛りピッチが0.01mm(線幅0.002mm)のNo.R1080は細密すぎで、倍率20倍未満の接眼レンズでは明確に見えません。この場合は接眼レンズ用ルーペを使用すると便利です。
- 視野
- 考慮しなければならないもう一つの要素は、絞りで決まる接眼レンズの視野です。大多数の接眼レンズは直径16mmをカバーしています。高倍率の接眼レンズに視野の小さい物がよくありますが、これは接眼レンズの面性を制限するので、選択に影響が出ます。
- レチクルの外径
- レチクルの外径寸法は接眼レンズの筒内径寸法で決まります。接眼レンズのレチクルは標準直径として、19mm、20mm、20.4mm、21mm、22mm、23mm、24mm、25mm、26mm、27mm、28mmの物が利用できます。各メーカーの接眼レンズのサイズ対応表は別表にあります。(その他の直径の物も、必要に応じて特注で利用できます。)
- レチクルの材質
- レチクルの材質は白板ガラス又はソーダガラスで1mmの厚さのものがほとんどですが、1.5mmの厚さのものも使用しています。(その他の材質、厚さのものは特注で利用できます。)
(2)接眼ミクロメーターの校正
校正は接眼ミクロメーターの目盛と顕微鏡のステージに載せた対物ミクロメーター(ガラス基準スケールでも可)を観察した時に、二つのスケールが一致する点を探します。
例えば10倍の対物レンズを使用した顕微鏡では、倍率が正確に10倍の場合、接眼ミクロメーターの目盛(10mm100等分、ピッチ0.1mm)と対物ミクロメーターの目盛(1mm100等分、ピッチ0.01mm)の1目盛と1目盛が完全に一致します。
この場合、接眼ミクロメーターの目盛は0.01mmになります。
下図では、接眼ミクロメーターの目盛数が8で対物ミクロメーターの目盛数が17のところで一致しています。そこで、接眼ミクロメーターの目盛は17/8=2.125対物ミクロメーター目盛ピッチになる訳です。この接眼ミクロメーターの1目盛は0.01×2.125で0.02125mmになる訳です。
(注:最も正確な測定をする為に、必ず、ある線の中心から他の線の中心までを観察すること。線の端から端ではありません。この場合は、接眼レンズ用ルーペを使用すると楽に正確な測定ができます。)
最後に強調しておかなければならないことは、レンズの組み合わせの変更や伸縮自在筒の長さの調整をする度に、校正は調整し直さなければならないことです。大多数のメーカーはレンズの倍率を記しています。妥当な接眼ミクロメーターを選択する時にはこの数字を使用しますが、この数字は一定の筒の長さに対してのみ正しいものなので、校正の変わりにこの数字を使用してはいけません。
(3)伸縮自在筒の校正
単眼顕微鏡・ズーム顕微鏡にはユーザーが倍率を自由に変えられます。接眼ミクロメーターと対物ミクロメーターを比較するのは、伸縮自在筒やズームを調整しながら接眼ミクロメーターの目盛を対物ミクロメーターの目盛の上に重ねればかなり簡単にできます。
接眼ミクロメーターを選択する場合、単純にミクロメーターの絶対値を対物レンズの倍率で割れば、顕微鏡の標本のおおよその寸法がでます。異なる倍率の対物レンズを使用している同一ミクロメーターに関し、この例を示したのが下記の例です。1ピッチが0.1mm(絶対値)で100目盛ある長さ10mmの接眼ミクロメーター(R1001-19~R1000-28)では、どの目盛もステージではおおよそ次のようになります。
対物レンズの倍率 |
10× |
20× |
30× |
40× |
100× |
ステージでの1目盛当たりの概数値 |
0.01 |
0.005 |
0.003 |
0.0025 |
0.001 |
(4)接眼ミクロメーターの取付け方
取り付ける前の注意事項
- ミクロメーターの直径(外径)は顕微鏡接眼レンズのサイズ(内径)に合っていますか?
- ミクロメーターはゴミなど付着していませんか?(ミクロメーターの位置はちょうどフォーカス面にありますので、ゴミなど付着していると、接眼レンズから観察する際、ゴミがはっきりと見えてしまいます。)
上記を確認してから、
- 顕微鏡から視度調整が付いている接眼レンズを外して(二つ接眼レンズとも視度調整がない場合は使いやすい方で結構)、その接眼レンズの下部(目から遠い方)にある刻み目リングをはずします。リングのもう一方はミクロメーターのホルダーになっています。(写真1、2を参照)
写真1
写真2
- ミクロメーターをリングのホルダー側に載せて、接眼レンズを上から覆うようにねじりこんで、固定します。(写真3、4を参照)接眼レンズの中に落とし込むと、ミクロメーターがずれてしまい、ミクロメーター或いは接眼レンズを傷つける恐れがありますので、落とし込まないようにして下さい。
写真3
写真4
- 取り付け完了。接眼レンズを顕微鏡に戻して、観察を行って下さい。
- 接眼レンズの適合サイズが分からない場合は、写真5のようにノギス(測微尺)を使って測って頂くか、顕微鏡の販売代理店またはメーカーにお問い合わせ下さい。
写真5
- 接眼レンズの構造が上記の例と違う場合は、顕微鏡の販売代理店またはメーカーにお問い合わせ下さい。
(5)接眼レンズ×接眼ミクロメーター適合表(オリンパス・ニコン)
接眼レンズの品番から接眼ミクロメーターの適合サイズをご確認ください。
適合表に無い品番の接眼レンズについては顕微鏡の販売代理店またはメーカーにお問い合わせください。
接眼レンズによっては構造上、分解して挿入する必要があるものがございますが、
当社では組み込み業務は行っておりませんのでご了承ください。
オリンパス顕微鏡接眼レンズ 適合表
接眼レンズ品番 |
適合サイズ(mm) |
接眼レンズ品番 |
適合サイズ(mm) |
CWHK10X |
φ19 |
NCWHK10X |
φ19 |
WHK10X |
φ20.4 |
WHK15X |
φ20.4 |
NWHK10X |
φ20.4 |
GSWH10X |
φ24 |
GSWH10X-H |
φ24 |
GSWH15X |
φ24 |
GSWH15X-H |
φ24 |
WHSZ10X-H |
φ24 |
WHSZ15X-H |
φ24 |
WHSZ20X-H |
φ24 |
WHSZ30X-H |
φ24 |
WH10X |
φ24 |
WH10X-H |
φ24 |
WH15X |
φ24 |
WHS10X-H |
φ24 |
WHS15X-H |
φ24 |
WHN10X |
φ24 |
WHN10X-H |
φ24 |
ニコン顕微鏡接眼レンズ 適合表
接眼レンズ品番 |
適合サイズ(mm) |
接眼レンズ品番 |
適合サイズ(mm) |
CFI 10X |
φ27 |
CFI 12.5X |
φ27 |
CFI 15X |
φ27 |
CFI UW 10X |
φ27 |
E1-CFI 10X |
φ27 |
C-W 10XB |
φ25 |
C-W 15X |
φ19 |
C-W 20X |
φ19 |
CFWN 10X |
φ21 |
CFWN 15X |
φ21 |